近年、ミレニアル世代(1981年〜1995年生まれの若者)を中心に”FIREムーブメント”が大きな盛り上がりを見せていますね。
FIREとはFinancial Independence, Retire Earlyの略で、経済的自立(Financial Independence)に到達して、早期退職(Retire Early)を実現するライフスタイルを指します。
ところで、FIREにもいくつか種類があるというのはご存知でしょうか。
実はFIREも大きく分類すると4種類のスタイルが存在します。
本記事では、FIREの4種類【ファットFIRE、リーンFIRE、バリスタFIRE(サイドFIRE)、コーストFIRE】の特徴や違いをそれぞれ簡潔に紹介します。
- FIREってどんな種類があるの?
- それぞれのFIREの特徴について知りたい!
- 自分の価値観に合致するFIREのスタイルはどれ?
上記のような悩みを解決していきますので、ぜひFIREの種類について理解を深めたいという方は参考にしていただければ幸いです。
私はサイドFIREを目指して資産形成に取り組んでおり、当ブログではFIREに関する情報を発信しています!
FIREは大きく分類すると「ファットFIRE」、「リーンFIRE」、「バリスタFIRE(サイドFIRE)」、「コーストFIRE」の4種類がある
ファットFIRE | リタイア後も豊かな生活を送ることができる理想的なFIRE |
リーンFIRE | FIREを目指す過程とFIRE実現後の生活において最小限(ミニマル)な生活を送るライフスタイルのFIRE |
バリスタFIRE | 金融資産から得られる不労所得で生活費の半分を賄い、残りをパートタイムという形で賄うライフスタイルのFIRE |
コーストFIRE | 早期リタイアはせずに労働収入で生活費を賄い続け、資産には手をつけずに複利の性質を利用してさらに資産を増やしていく特殊なFIRE |
それぞれのFIREによって特徴や必要金額も変わるので、自身の価値観に合ったFIREを目指そう!
【前提】FIREの基本的な考え方
4種類のFIREについて紹介する前に、まずは共通する基本的なFIREの考え方を知っておきましょう。
一般的にはFIREを実現するために、年間生活費の25倍の資金が必要という考え方があります。
なぜ年間生活費の25倍の資金が必要かというと、これには「4%ルール」というものが絡んできます。
- 4%ルール
- 生活費を投資元本の4%に抑えることができれば、資産を目減りすることなく暮らしていくことが可能だというシンプルな仮定
「4%ルール」とは、1998年に米国のトリニティ大学で発表された「資産運用に関する論文(トリニティスタディ)」で提唱されたもので、この論文では以下のような結論が導き出されています。
ポートフォリオの4%の資金で1年間の生活費が賄えれば、貯蓄が30年以上持続する可能性が95%である
4%ルールは完璧な理論ではありませんが、具体例をあげてみます。
例えば、年間生活費が300万円の人がいるとしましょう。
この人がFIREを実現するためには、目安として7,500万円(=300万円×25)の金融資産が必要となります。
必要な金融資産に到達したら、先ほど紹介した「4%ルール」に基づいて7,500万円を毎年4%で取り崩していくことによって、資産収入だけで300万円(=7,500万円×4%)の生活費が賄えるというわけです。(税金は考慮していない)
これが一般的なFIREの考え方になります。
FIRE(早期リタイア)には4つの種類がある
では、基本的なFIREの考え方を踏まえた上で、4種類のFIREについてそれぞれの特徴を紹介していきます。
先に結論をお伝えしておくと、FIREには以下の4種類があります。
そして、これらの4種類のFIREは以下の図のように、労働の有無とリタイアできる実現難易度によって分類することができます。
また、「バリスタFIRE」と似たセミリタイア型のFIREとして「サイドFIRE」というスタイルもありますので、ここでは「サイドFIRE」も含めて5種類紹介したいと思います。
①ファットFIRE(Fat FIRE)
「ファットFIRE(Fat FIRE)」は、リタイア後も豊かな生活を送ることができる理想的なFIREです。
今回紹介しているFIREの中でも最も実現難易度が高い、完全リタイア型のFIREになります。
Fat(ファット)という単語は形容詞として以下のような意味を持っています。
- 太った
- ふくれた、豊かな
- <土地が>肥沃な
これらの意味から想起できるように、「Fat FIRE」はリタイア後も贅沢に過ごすことができる点で他のFIREと一線を画しています。
つまり、他のFIREと比べて「リタイア後の生活を豊かにする」ことを目的としているんですね。
例えば、起業や副業などで成功して1億円の資産を築くことができれば、この1億円を元手に4%取り崩すことで資産所得だけで年間400万円の生活を送ることができます。(税金は考慮していない。)
難易度は最も高いですが、誰もが憧れる理想的な状態だと思います。
メリット | デメリット |
---|---|
リタイア後も豊かな生活を送ることができる | 実現のハードルが非常に高い |
②リーンFIRE(Lean FIRE)
「リーンFIRE」は、FIREを目指す過程とFIRE実現後の生活において最小限(ミニマル)な生活を送るライフスタイルのFIREです。
「リーンFIRE」も完全リタイア型のFIREですが、「ファットFIRE」と違って相対的に実現難易度が低くなります。
lean(リーン)という単語は形容詞として以下のような意味を持っています。
- 体が締まった、痩せた
- 無駄がない、効率的な
- 余裕がない、限られている
これらの意味から想起できるように、リタイア前後の生活を必要最低限の水準に削ぎ落としたFIREスタイルが「リーンFIRE」です。
具体的なイメージとしては、ミニマリスト(必要最小限のモノで豊かな暮らしを送る人)としてFIREを実現しているような方々を思い浮かべると分かりやすいと思います。
FIREに必要な金額の目安は「年間生活費×25」で表されるため、ミニマリストのように支出を最小限に削ることで目標金額も少なくなるので、FIREのハードルが下がるといったメリットがあります。
ミニマリズムの思考が必要不可欠となりますが、近年30代や40代といった若さでFIREを実現している人はこのタイプが非常に多い印象です。
質素・倹約な生活を送り続ける必要がありますが、お金の本質が自由であることを認識したうえで、豊かさよりも自由を手にしたい(=自分の好きな人生を歩みたい)という志向が強い人に向いています。
メリット | デメリット |
---|---|
完全リタイア型では実現難易度が相対的に低くなる | リタイア後も質素・倹約な生活を送り続ける必要がある |
③バリスタFIRE(Barista FIRE)
「バリスタFIRE」は、金融資産から得られる不労所得で生活費の半分を賄い、残りをパートタイムという形で賄うライフスタイルのFIREです。
一般的なFIREは労働を必要としない完全リタイア型であるのに対し、バリスタFIREは生活費の半分をパートタイムという形で賄うのでセミリタイア型と言われます。
セミリタイア型のFIREは、生活費の半分を労働収入で賄うので、リタイアするために必要な金額(実現難易度)も1/2になるといったメリットがあります。
ちなみに「バリスタFIRE」という名前はカフェのバリスタが由来となっているようです。
資産収入である程度の生活費を賄いながら、残りの必要な金額をカフェのバリスタのようにパートタイムとして稼いで日々生活していく…みたいなイメージだと分かりやすいのではないでしょうか。
完全リタイア型ではないとはいえ、これまで正社員として週5日働いていたところを自分の好きなアルバイトやパートタイムといった形態で週3日前後働くのではライフスタイルが全然違ってきます。
実は「バリスタFIRE」は米国発祥の用語なんですが、米国ではFIREするために会社を辞めてしまうと日本のように皆保険制度が確立されていないといった背景があります。
なので、健康保険に加入する権利を得るためにFIRE後もパートタイマーとして勤務する人がいるんですね。
そして、これには諸説ありますが、中でもパートタイマーとして健康保険に加入できる会社でスターバックスコーヒーが有名なので、「バリスタFIRE」といった名前がついているのではないでしょうか。
つまり、元の起源を辿っていくと、バリスタFIREの最大の目的は労働者としての権利を獲得することにあります。
メリット | デメリット |
---|---|
FIREを目指すうえでの目標金額が低くなる リタイア後の生活設計がしやすい | 完全なリタイアではない(多少の労働が必要) |
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また、同じセミリタイア型のFIREとして「サイドFIRE」もあります。
サイドFIREは、金融資産等から得られる不労所得で生活費の半分を賄い、残りを働いて稼ぐというセミリタイア型のFIREになります。
「バリスタFIRE」と非常に似ていますが、どこに違いがあるのでしょうか。
「バリスタFIRE」と「サイドFIRE」の違いを分かりやすく説明すると、以下のように表せます。
- バリスタFIRE…パートタイム(労働)+資産収入(FIRE)
- サイドFIRE…サイドビジネス(副業)+資産収入(FIRE)
「バリスタFIRE」にしても「サイドFIRE」にしてもリタイア後に必要な生活費の不足分を人的資本(労働)で賄うという点では同じです。
ただ、働く形態が「バリスタFIRE」の場合はパートタイム労働なので比較的収入が安定し、「サイドFIRE」の場合はサイドビジネスを行うので属性はフリーランスに近く、収入が安定しにくいといった違いがあります。
④コーストFIRE(Coast FIRE)
「コーストFIRE」とは、早期リタイアはせずに労働収入で生活費を賄い続け、資産には手をつけずに複利の性質を利用してさらに資産を増やしていくタイプのFIREです。
「コーストFIRE」は非常に特殊な形態のFIREであり、少し理解するのが難しいかもしれません。
基本的な考え方としては、自身が想定するリタイア後に必要な金額(現在価値で算出)を用意できてしまえば、「コーストFIRE」を達成したと言えます。
「コーストFIRE」の水準に到達すれば、あとは資産をほったらかしにするだけで増え続けていくので、そこからは一切お金の心配をすることなく、フルタイムで働いて得た収入を自分の好きなように使うことができます。
フルタイムでの労働を続けるのでFIRE感はありませんが、将来のお金の心配が全く不要となり、自分や家族の生活費さえ賄える収入があればよくなるので労働に対する精神的負担が軽くなる点にメリットがあります。
また、医者や弁護士の方など資産的にはいつでも早期リタイアできるものの、仕事へのやりがいを持ち、働き続けている人などもCoast FIREに位置付けられることが多いです。
メリット | デメリット |
---|---|
経済的な余裕を持った状態で仕事に取り組める 社会とのつながりが持てる | フルタイムでの労働が必要 |
まとめ:自身の価値観に合ったFIREを目指そう!
以上、FIREの基本的な考え方と4種類のFIREについて特徴を紹介させていただきました。
「ファットFIRE」「リーンFIRE」「バリスタFIRE(サイドFIRE)」「コーストFIRE」とそれぞれに違った特徴や良さがあります。
最後に参考として、年間生活費が300万円の人をベースにそれぞれのFIREを目指すとしたらどの程度目標金額が変わるのかを図式化してみました。(あくまで金額はイメージです)
- リタイア後も割と裕福な生活を送りたいのか
- 生活を最小限にしてでも早く自由を勝ち取りたいのか
- 半分だけ働いてセミリタイアを目指すか
- これまで通りフルタイムで仕事を続けながら精神的に経済的自由を勝ち取るか
価値観やどのFIREを目指したいかは人それぞれだと思いますので、ぜひ自身の価値観に適したスタイルのFIREを目指してこれからも資産形成に励んでいただければと思います。
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