最近は日本でも”FIRE”について取り上げられることも多くなり、FIREを目指して資産形成に取り組む人も徐々に増えてきています。
そして、FIREに関する情報収集していると、一度は”リーンFIRE”という単語を見聞きしたことがあるのではないでしょうか。
FIREにも様々な種類があるみたいだけど、中でも「リーンFIRE」ってどういうFIREスタイルなの?
また、「リーンFIRE」にはどんなメリットがあるの?
上記の悩みを解決するために、本記事ではリーン(Lean)FIREの特徴やメリット・デメリットを紹介しています。
また、リーンFIREを実現するために必要な金額の目安についても紹介しておりますので、FIREを目指している方はぜひ参考にしていただければと思います。
私はサイドFIREを目指して資産形成に取り組んでいますが、リーンFIREに必要不可欠なミニマリズムの考え方も取り入れています。
- リーンFIREとは、FIREを目指す過程とFIRE実現後の生活において最小限(ミニマル)な生活を送るライフスタイル
- リーンFIREは完全リタイア型のFIREで、実現難易度が相対的に低い
- ミニマリズムの思考とFIREというライフスタイルの相性は非常にいい
FIREには4種類のスタイルがある
まず、リーンFIREについて説明する前にFIREには大きく分けて4種類のスタイルがあることを知っていただきたいです。
以下の図のように、「セミリタイア型」か「完全リタイア型」か、「実現難易度の高低」によってFIREは4つの種類に分類できます。
本記事で紹介する「リーンFIRE」は完全リタイア型のFIREで、実現難易度が相対的に低くなっているのが特徴です。
リーンFIRE(Lean FIRE)とは
リーンFIRE(Lean FIRE)とは、FIREを目指す過程とFIRE実現後の生活において最小限(ミニマル)な生活を送るライフスタイルのことを指します。
lean(リーン)という単語は形容詞として以下のような意味を持っています。
- 体が締まった、痩せた
- 無駄がない、効率的な
- 余裕がない、限られている
これらの意味から想起できるように、リタイア前後の生活を必要最低限の水準に削ぎ落としたFIREスタイルが「リーンFIRE」です。
リタイア後は一切労働を必要としない完全リタイア型のFIREの一種であり、リタイア前後の生活水準を引き下げるため実現難易度は相対的に低くなります。
具体的なイメージとしては、ミニマリスト(必要最小限のモノで豊かな暮らしを送る人)としてFIREを実現しているような方々を思い浮かべると分かりやすいのではないでしょうか。
日本でも30歳という若さでFIREを実現した三菱サラリーマン(穂高唯希)さんもリタイア後に仕事をしていなければ「リーンFIRE」に該当していたと思います。(*実際はサイドFIRE)
穂高さんの著書『本気でFIREをめざす人のための資産形成入門』を読んでいただければ、自由を手にしたいという思いが非常に強く、生活水準を限りなく低くして驚異の貯蓄率80%を実現していることが分かります。
基本的に「リーンFIRE」タイプの方々はお金の本質が自由であることを認識したうえで、豊かさよりも自由を手にしたい(=自分の好きな人生を歩みたい)という志向が非常に強いです。
このように「リーンFIRE」を実現するためには、自由を手にしたいという強い想いとミニマリズムの思考が必要不可欠となります。
近年のFIREムーブメントで早期リタイアを実現している人々は「Fat FIRE」か「Lean FIRE」かといった視点で見ると「Lean FIRE」のタイプが圧倒的に多く、30〜40代での完全リタイアを目指すなら「リーンFIRE」は選択肢に入れておくべきです。
スポンサーリンク
リーンFIREの2つのメリット
リーンFIREの主なメリットは以下の2つです。
- 若くして自由を手にすることができる
- 本当に大切なことに集中できる
①若くして自由を手にすることができる
FIREにも様々なスタイルはありますが、完全リタイア型において1番ハードル(目標金額)が低くなるのは「リーンFIRE」です。
「リーンFIRE」を実現するために必要な金額については後ほど詳しく紹介しますが、FIREするために必要な金額の目安は「年間生活費の25倍」と言われています。
リタイア前後の生活水準を必要最低限に引き下げた生き方が「リーンFIRE」なので、年間生活費が相対的に少なくなる分、完全リタイアまでに必要な金額がグッと下がります。
加えて、いかに早くFIREを実現できるかは”貯蓄率”にかかっていますが、「リーンFIRE」のように生活費(支出)を最小限に抑えることができれば、貯蓄率も高まるのでより若くして自由を手にすることが可能となります。
以下に生活費25年分の資産(=FIRE実現の目安)を作るのに必要な年数を試算してまとめました。
先ほど例に挙げた三菱サラリーマン(穂高唯希)さんも極限まで支出を切り下げて80%の貯蓄率を維持できたからこそ30歳という若さで自由を手にしています。
このように生活費を最小限(ミニマル)に抑えて高い貯蓄率を維持することができれば、若くして自由を手にすることも夢ではないのです。
②本当に大切なことに集中できる
「リーンFIRE」を通じてミニマリストのような必要最小限の生活を送れるようになれば、自分にとって本当に大切なことに集中できる生き方を手に入れられます。
ミニマリズムの本質は、大切なモノに集中するために不要なモノを取り除くということにあるからです。
ミニマリストに対して「かなりモノが少なくて大変な生活をしていそう…」といったイメージがありますが、彼らは本当に大切なモノを残して余計なモノを削ぎ落しているだけなので幸福度は下がっていないですし、むしろ豊かさが増えています。
FIREを目指す過程においてミニマリスト的な生き方を実現すれば、生活費が下がるといった経済的なメリットもありますが、自身の生活において不要なモノを手放せば本当に大切なモノを追求する自由も手に入るのです。
自分が実現したい夢ややりたいことなど本当に大切なことに集中するために、モノや友人関係をミニマルにして生活をしているといった人もミニマリストには多いです。
リーンFIREの3つのデメリット
これまで「リーンFIRE」のメリットについて紹介してきましたが、一方でデメリットもあります。
「リーンFIRE」の主なデメリットが以下の3つです。
- 相場暴落といった緊急時に脆い
- 倹約生活を継続しなければならない
- 社会との関わりが少なくなる
①相場暴落といった緊急時に脆い
「リーンFIRE」の最大のデメリットが相場暴落などの緊急時に脆いということです。
「リーンFIRE」は生活費が少ないといった前提のもとに完全リタイアを設計しているので、何か緊急事態が起こると精神的な負担がかなり大きくなります。
労働収入はなく、収入は金融資産に完全依存しているため、相場の暴落が起こり、資産価値が大きく目減りすると気が気ではないでしょう。
また、相場の暴落以外にも想定していない緊急事態等で急に大きな出費が出てくると精神的にしんどいと思います。
②倹約生活を継続しなければならない
「リーンFIRE」の2つ目のデメリットは倹約生活を継続しなければならないということです。
生活費を必要最低限に落とした水準を想定して完全リタイアを設計しているため、リタイア後に生活水準を上げてしまうと思ったより早く資産が減ってしまう可能性があります。
「リーンFIRE」の状態で贅沢な生活を送るのは難しく、少しでも生活水準を上げるなら「バリスタFIRE」や「サイドFIRE」のように多少の労働を行う必要はありそうです。
また、家族がいる方が「リーンFIRE」を目指そうとすると家族にも倹約生活を強いてしまうことになるため向いていません。
③社会との関わりが少なくなる
「リーンFIRE」のような完全リタイア型のFIREには、リタイア後に社会との関わりが少なくなるといったデメリットがあります。
会社員の方がリタイアすると、これまで会社で働いていた時間が一気に自由になり、社会との関わりは一気に減ります。
また、ほとんどの人は友人も平日は会社員として働いているケースが多いでしょう。
そのため、リタイア直後は自分の好きなことに没頭するも、時間が経つと社会との関わりが欲しくなって自分で事業を立ち上げたり、何らかの形で社会とのつながりを求める人が多いです。
三菱サラリーマン(穂高唯希)さんもFIREを考える上では「生き方」が非常に重要だと述べています。
リタイア後に自分はどういう生き方を実現したいのかをあらかじめ明確にしておくと良いですね。
リーンFIREを実現するにはいくら必要!?
「リーンFIRE」を実現するにはいくら必要になるのでしょうか。
先に結論をお伝えしておくと、目安となる必要金額は「年間生活費×25」となり、人によって金額は異なります。
具体的に月間生活費ごとに「リーンFIRE」の必要な金額の目安を算出してみました。
月間生活費 | 年間生活費 | 必要金額(目安) |
---|---|---|
50,000円 | 600,000円 | 15,000,000円 |
80,000円 | 960,000円 | 24,000,000円 |
100,000円 | 1,200,000円 | 30,000,000円 |
120,000円 | 1,440,000円 | 36,000,000円 |
150,000円 | 1,800,000円 | 45,000,000円 |
生活水準をどこまで切り下げれるかは人によると思いますが、一般的なFIREと比較すると相対的に少ない金額で完全リタイアが視野に入るのではないでしょうか。
まとめ:ミニマリスト×FIRE=リーンFIRE
以上、「リーンFIRE」の特徴やメリット・デメリット、必要金額の目安について紹介させていただきました。
ミニマリズムの思考とFIREというライフスタイルの相性は非常によく、それを体現した生き方こそが「リーンFIRE」です。
「リーンFIRE」という単語自体はそんなに多く使われるものではありませんが、近年流行しているFIREムーブメントの達成者はミニマリストの思考を持ちあわせた人が多い印象を受けています。
ミニマリズムの思考を取り入れてFIREを目指すことによって、比較的若いうちに自由を手にすることができますし、自分にとって本当に大切なモノに集中できる生き方が手に入ります。
「リーンFIRE」という生き方に興味を持たれた方は、ミニマリズム思考を取り入れて今後の資産形成に励んでみてはいかがでしょうか。
最後に「リーンFIRE」を目指す人におすすめの本をいくつか紹介しておきます。
著者 | ジョシュア・ベッカー 現代のミニマリズム運動を代表する1人 |
おすすめ ポイント | ・ミニマリズムの定義からモノを減らすことで得られる効用、モノの手放し方まで幅広く解説されている。 ・ミニマリズムの最大の利点は豊かさが増えることだと教えてくれる。 |
読んでほしい人 | ・ミニマリズムの概念や概要を知りたい人 ・ミニマリストになるメリットについて知りたい人 |
著者 | ミニマリストTakeru ミニマリストYouTuber。30歳でFIREを実現。 |
おすすめ ポイント | ・ミニマリズムの概念に出会って人生が一変した著者の体験談をもとにミニマリストの魅力やメリット、具体的なアクションプランが紹介されている。 |
読んでほしい人 | ・ミニマリストとして人生が変わった例を知りたい人 ・これからミニマリストを目指していきたい人 |
そのほか、私が実際に読んでおすすめしているミニマリスト本を以下の記事にまとめています。
また、FIREを目指すなら絶対に読んでおきたいおすすめの5冊を以下の記事にまとめておりますので、併せて参考にしていただければと思います。
スポンサーリンク