現在、プルデンシャル生命から米国ドル建終身保険の提案を受けているんだけれど、実際のところ中身はどうなの?契約すべき?
本記事では、上記の悩みを解決していきます。
先に結論から申し上げると、プルデンシャル生命のみならず、貯蓄性・積立型の米国ドル建て終身保険は個人的にオススメできません。
私も以前、プルデンシャル生命の米国ドル建終身保険を契約していましたが、自分なりに調べて考えてみたところかなり割に合わない商品だったため、すぐに解約しました。
実際に過去の私が契約していたプルデンシャル生命の米国ドル建て終身保険の商品性や返戻率(リターン)をもとにおすすめできない理由を解説していきます。
プルデンシャル生命「米国ドル建終身保険」の商品性
まず、私自身も過去に契約していたプルデンシャル生命の「米国ドル建終身保険」の商品性を紹介します。
概要
私が24歳の時に、契約していた米国ドル建終身保険の概要は以下です。
- 保険金額:30,000ドル
- 保険期間:終身
- 払込期間:10年
- 保険料:84.38ドル
簡単に米ドル建て終身保険について説明します。
名前のとおり、通貨は米ドルとなっており、終身保険とはざっくりいうと保障が一生涯続く保険のことを指します。
私の契約例でいうと、保険金額30,000ドル(300万円くらい)の保障が死ぬまで続いているということになります。
毎月の保険料は84.38ドルで、払込期間は10年になっています。(保険料を支払う期間が10年ということ。)
このように終身保険は掛け捨ての保険ではないため、貯蓄性を備えているという特徴があります。
つまり、終身保険とは保障(亡くなった時の保険金)が一生涯続き、途中で解約したとしても解約返戻金が受け取れるので、万が一の保障を備えながら、将来のための貯蓄ができる保険です。
返戻率(リターン)
貯蓄性があって、運用機能を備えている「米国ドル建終身保険」ですが、実際のところ貯蓄・運用機能はどうなっているのでしょうか。
契約時にいただいた既契約計算書をもとに経過年数、払込保険料(累計)、解約返戻金(保険を解約した時に戻ってくるお金)の関係をもとに解約時の返戻率(リターン)を算出して、表にまとめました。
経過年数 | 払込保険料累計(ドル) | 解約返戻金額(ドル) | 解約時リターン |
---|---|---|---|
1 | 1012.56 | 27 | -97.33% |
2 | 2025.12 | 864 | -57.34% |
3 | 3037.68 | 1725 | -43.21% |
4 | 4050.24 | 2616 | -35.41% |
5 | 5062.8 | 3528 | -30.32% |
6 | 6075.36 | 4470 | -26.42% |
7 | 7087.92 | 5439 | -23.26% |
8 | 8100.48 | 6438 | -20.52% |
9 | 9113.04 | 7467 | -18.06% |
10 | 10125.6 | 8523 | -15.83% |
11 | 10125.6 | 8727 | -13.81% |
12 | 10125.6 | 8937 | -11.74% |
13 | 10125.6 | 9153 | -9.61% |
14 | 10125.6 | 9375 | -7.41% |
15 | 10125.6 | 9603 | -5.16% |
16 | 10125.6 | 9834 | -2.88% |
17 | 10125.6 | 10071 | -0.54% |
18 | 10125.6 | 10314 | 1.86% |
19 | 10125.6 | 10566 | 4.35% |
20 | 10125.6 | 10821 | 6.87% |
21 | 10125.6 | 11082 | 9.45% |
22 | 10125.6 | 11082 | 9.45% |
23 | 10125.6 | 11352 | 12.11% |
24 | 10125.6 | 11625 | 14.81% |
25 | 10125.6 | 11904 | 17.56% |
26 | 10125.6 | 12189 | 20.38% |
27 | 10125.6 | 12480 | 23.25% |
28 | 10125.6 | 12777 | 26.19% |
29 | 10125.6 | 13080 | 29.18% |
30 | 10125.6 | 13389 | 32.23% |
終身保険は生涯保障が続くため、まだまだ表は続いていきますが、長くなってしまうので今回は30年分のみ表記しました。
先ほど説明したとおり、払込期間は10年なので、10年を経過すると保険料を払う必要はなくなります。(累計払込保険料は10125.6ドル)
解約時の返戻率(リターン)は解約返戻金額÷払込保険料累計で算出しています。
その年に米ドル建終身保険を解約したとすると、累計払込保険料に対してどの程度お金が返ってくるのかを示しています。
着目してみると非常に気になるのが、返戻率(リターン)の低さです。
1つの区切りとして30年後の解約時の返戻率(リターン)に着目してみたいと思いますが、32.33%となっています。
この数値が意味するのは、30年後にこの米国ドル建終身保険を解約したとすると累計払込保険料(元本)に対して32.23%お金が増えているということです。
意外と増えているような気もしますが、投資の世界に慣れている人からするとかなり低リターンであることがお分かりいただけると思います。
参考として、米国の主要株価指数の1つであるS&P500指数は年平均利回り5.3%となっており、30年間のリターンは365%となっています。
また、著名なインデックス投資家である水瀬ケンイチさんは著書『お金は寝かせて増やしなさい』で2002年から2017年までの15年間の自身のインデックス投資の実績を公開されていましたが、15年間で50%のリターンを上げられています。
インデックス投資は誰でも簡単にできる投資手法です。
このようなインデックス投資と比較をしても米国ドル建終身保険の返戻率(リターン)が低いことが分かります。
プルデンシャル生命「米国ドル建終身保険」がおすすめできない理由
プルデンシャル生命の米国ドル建終身保険の商品性と返礼率(リターン)を紹介したところで、本題に入っていきましょう。
私がプルデンシャル生命の米国ドル建終身保険をおすすめしない理由は、貯蓄・保険・投資の機能をごちゃ混ぜにした結果、どの機能も十分な役割を果たせていないからです。
私自身、本商品を保険の営業マンから提案を受けた際に、「貯蓄・保険・投資の機能がついているのでおすすめですよ」と言われました。
「貯蓄」「保険」「投資」の重要性はよく分かりますが、やはりそれぞれ独立させて考えるべきです。
まず、このような貯蓄性・積立型の保険に加入することで、毎月自動的に保険料が引き落とされるから自分は貯蓄ができているという人をたまにみかけます。
保険を貯蓄代わりにする最大の問題は流動性の悪さです。
保険は銀行預金などとは違って必要になった際に必要な金額をすぐに引き出すということは容易ではありません。
また、早い時期に解約してしまうと、先ほどの返戻率(リターン)のところで述べたように大きく元本が割れて返ってきます。
そして、保険に投資の機能を求めると低リターンといった問題が生じます。
「だとしても、本来の保険の役割は果たしているのだからいいではないか?」
そういった声が聞こえてきそうです。
ただ、保険の役割としても1つ大きな問題があります。
それは、貯蓄性・積立型の保険商品というのは貯蓄と運用の機能が合わさった結果、本来の役割である保障(=保険金額)が小さくなってしまっているということです。
生命保険の本来の役割は、自分に万が一のことがあった場合に残された家族が安心して生活していけるよう、経済的に保障することです。
私が契約していたプルデンシャル生命の米ドル建終身保険は毎月保険料を84.38ドル(約9000円)支払っているのに対し、保険金額は30,000ドル(約300万円)となっていました。
私は現在、保険の本来の役割を果たしてくれる掛け捨ての生命保険(楽天生命の「スーパー定期保険」)に切り替えていますが、毎月の保険料は910円で保険金額は1,000万円になっています。
シンプルに保険の本来の役割を求めた結果、毎月支払う保険料は1/10に、保険金額は3.3倍になっています。
以上、プルデンシャル生命の米国ドル建終身保険は「貯蓄」「保険」「投資」の役割をごちゃ混ぜにした結果、どの機能も十分な役割が果たせていないということがお分かりいただけたでしょうか。
私が以前契約していた保険がプルデンシャル生命の米ドル建終身保険というだけであって、貯蓄性・積立型の保険はほとんど「貯蓄」、「保険」、「投資」の機能が十分に果たせていない可能性が高いです。
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「貯蓄」「保険」「投資」はそれぞれ独立して考えよう
「貯蓄」「保険」「投資」はいずれも重要ですが、ごちゃ混ぜにしてしまうと本来の役割を果たせなくなってしまうということを解説してきました。
大切なのは、「貯蓄」「保険」「投資」の目的を認識したうえで、それぞれ独立して考えるということです。
「それぞれ役割を分けて管理するのはめんどくさい…」
と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、少しずつ勉強すれば簡単です。
ここでは、「貯蓄」「保険」「投資」と切り分けるにあたって、参考となる考え方を紹介していきます。
貯蓄
まずは、貯蓄について考えていきましょう。
お金とは、欲しいものや必要なものを手に入れる手段でしかありません。
貯蓄の目的は、何かあったときに自分の生活を助けるため、将来やりたいことを実現するためにお金を蓄えておくということにあります。
なので、本来の目的として使う場面に必要な金額を引き出せる機能は必要不可欠です。
貯蓄に関しては、貯蓄用の銀行口座を作成するのがおすすめです。
そして、貯蓄をできるようになるためには、仕組みづくりが大切です。
自分の意思で、「今月余裕ができたら貯金をしよう」と思っているとなかなか貯金をすることはできません。
給与が入ってきた時点で一定額を貯蓄用口座に入金し、残ったお金で生活するという仕組みを作ってしまうのが簡単かつ効果的ですので、ぜひ試してみてください。
≫【要約】『私の財産告白』本多静六|社会人になる前に読んでおきたい貯金のバイブル
保険
生命保険の役割は、自分に万が一のことがあった場合に残された家族が安心して生活していけるよう、経済的に保障することにあります。
保険の仕組み自体は非常に素晴らしいものです。
ただ、保険で保障すべき金額や保険が必要かどうかはそれぞれの家族構成や年齢等で変わってくるため、絶対解というものが存在しません。
なので、保険に関してはまずは健康保険などの公的な保障制度を理解し、加入すべき保険を必要なものに絞るということが大切です。
≫【書評/要約】『いらない保険』を読んで生命保険が本当に必要かどうか考えよう!
投資
投資の目的も様々ありますが、単純にいえばお金を増やすことだと思います。
「とはいえ、投資の世界って複雑だし、難しそう…」
と思われる方もいらっしゃるでしょう。
ただ、投資という言葉に苦手意識を抱いて、何もせずに銀行預金に預けているだけではお金も増えず、大きな機会損失となってしまいます。
個別株投資は複雑でかなり難しいですが、簡単に始められる投資も存在します。
投資を一度もやったことがない人にぜひおすすめしたいのが「インデックス投資」です。
少し勉強する必要はありますが、投資の世界に足を踏み入れるハードルは非常に低いので、ぜひ試していただければと思います。
まとめ:貯蓄性・積立型の保険はおすすめしない
以上、私が過去に契約していたプルデンシャル生命の「米ドル建終身保険」をもとに貯蓄性・積立型の保険がおすすめできない理由を紹介させていただきました。
「貯蓄」「保険」「投資」はいずれも重要ですが、ごちゃ混ぜにしてしまうとどの機能も本来の役割を果たせなくなってしまいます。
「貯蓄」「保険」「投資」はそれぞれ切り分けて独立して考えるようにしましょう。
本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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