2019年頃から「FIRE」(Financial Independece, Retire Early:経済的自立と早期リタイア)という単語が浸透するようになりました。
そのような背景もあり2019年末から2020年にかけて「FIRE」に関連する書籍の出版が目立つようになりました。
本記事では、再現性の高いFIRE本としてジェイエル・コリンズ氏の著書『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』を紹介します。
本のタイトルに「FIRE」という単語は使われていませんが、”自由”や”経済的自立”に関する内容が本書の中で数多く触れられています。
著者は非常にシンプルな資産形成(投資)で経済的自由を手に入れているので、経済的自立を目指すための考え方・手法を学ぶにあたっては非常に参考となる本です。
「再現性の高い方法で自由を手にしたい」という方や「長期的な視点で資産形成に取り組もう」と思っている人に読んでほしい内容となっています。
著者:ジェイエル・コリンズ
著者はジェイエル・コリンズさん。
肩書はファイナンシャル・ブロガーでブログ「jlcollinsnh.com」を運営しています。
1975年から投資を行っている個人投資家でもあります。
何度も転職を重ねる中で収入の範囲内で生活するようになり、気が付けば夫婦どちらも働かなくても暮らせるようになっていたといいます。
実践していたのはシンプルな投資だけです。
収入の半分を投資にまわす、借金をしない、バンガード創業者ジャック・ボーグルの教えに従ってインデックスファンドに投資をする。
このシンプルな方法だけで経済的自由を手にしています。
2019年末に出版された『FIRE 最速で経済的自立を実現する方法』の著者グラント・サバティエ氏はネットビジネスなどで稼ぐ力を高めてFIREの実現を早めていましたが、本書の著者ジェイエル・コリンズ氏は倹約とインデックス投資によってFIREを実現しています。
FIREにできるだけ早く到達したいのであれば、グラント・サバティエ氏のように稼ぐ力を飛躍的に向上させることが重要ですが、時間をゆっくりかけて長期的な資産形成でFIREを目指すのであればジェイエル・コリンズ氏の手法は非常に再現性が高いと感じました。
経済的自立に到達するための重要なガイドライン
本書の冒頭にて、著者が考える重要なガイドラインが記載されていましたが、このガイドラインこそが経済的自立に到達するために非常に重要な考え方となります。
・収入の範囲内で消費する。借金はしない。
・ここに書いてあることだけをすれば豊かになれる。お金だけでなく、人生そのものが。
・借金するのは、血を吸う虫に覆われているようなものだ。
・ナイフを研ぎ、少しずつ虫を剝ぎ取りなさい。
・収入をあるだけ使っているのは、お金にまみれた奴隷でしかない。
・お金に無責任な人と付き合わないこと。そんな人にあなたのお金を触らせてはいけない。
・投資アドバイザーを近づけないこと。ほとんどのアドバイザーは自分のことしか考えていない。彼らと付き合って、よい運用先を選ぶのに時間を使うくらいなら、自分自身でやっていける。あなたのお金について、あなた以上に本気で考える人はいない。
・あなたは自分のものを所有しているが、同時にそれらに縛られてもいる。
・お金で買えるものよりも貴重なのは自由であること。
・人生にはお金以外の決断もあるが、どんな決断でも、その経済的なインパクトを常に考えるべき。
・健全な投資は複雑ではない。
・収入の一部を貯めよう。お金を貯めていないことがあとで自分を縛る障害になる。
・節約してより多く投資すれば、「会社に縛られないお金」が早く貯まる。
・収入の半分は投資に回そう。借金をしていなければ十分に可能。
・収入の多くを貯蓄に回す利点は、投資を増やすだけでなく、控えめに暮らす方法も身につくことにある。
・株式市場は投資する有力な市場だが、激しく上昇、下降することも忘れずに。そういうものだ。下がったらもっと買おう。
・ただし、下がったときに買うことはとても難しい。まわりの人々もニュースもパニックに陥り、誰もが「売れ」と叫んでしまう。
・メディアの人々の中には将来を予測できるという人もいるが、先のことは誰にもわからない。みんな妄想に駆られているだけ。無視しよう。
・投資額の4%で1年を暮らせれば、経済的に自立しているといえる。
どれも重要な考え方ですが、個人的に大事だと思えた部分を太字にしてみました。
私自身も資産形成に取り組んでいて最も重要だと感じるのが、お金があれば自分の取れる選択肢が広がる、つまり自由を得られるということです。
そのために「資産形成の公式=収入-支出+(資産×運用利回り)」を最大化することが重要です。
本書では、収入(稼ぐ)の部分に関しては触れられていませんが、支出を減らすことの重要性についてはかなり述べられています。
経済的自立を目標にするなら、支出が少ない方が達成しやすいのは間違いないです。
著者の場合、支出を減らして収入の50%を投資にまわしているのが大きな特徴です。
長期的な視点で考える必要はありますが、支出を最小化し、より多くの資金を投資にまわすというのはかなり再現性の高い経済的自立への道だと思います。
スポンサーリンク
こうして”会社に縛られないお金”を作った
数々のビジネス書を読んでいて感じるのは、成功者は達成したい目標を定めて明確にイメージし、その目標を達成することを逆算して計画・行動している共通点があるということです。
著者も経済的自立を達成している成功者として同じ共通点があるのではないかという視点で本書を読んでいましたが、やはり当てはまる部分がありました。
著者が経済的自立を目指すこととなったきっかけは、とある小説との出会いからです。
ジェームズ・クラベルの『ノーブル・ハウス』という小説を読んで、”会社に縛られないお金”という言葉を知り、その時から著者の目標は”会社に縛られないお金”を作ることだと明確に定まったそうです。
そして、この目標に対して取り組んだことも非常にシンプルです。
- 収入の50%を確実に貯蓄していたこと。
- 借金をしなかったこと(自動車ローンを組んだことはありません。)
- バンガードの創設者であり、インデックスファンドの投資家であるジャック・ボーグルが40年も前に完成させたインデックス投資の教えをしっかり支持したこと。
これだけ見るとかなりシンプルですが、実際に長期間かけて実践するのは難しいと思います。
収入の50%を貯蓄にまわすというのも、生活水準を上げずに支出を減らす努力が必要です。
また、インデックス投資という手法も短期間で成果が出るものではなく、長期間かけて結果が出るものなので継続力が必要です。
私の推測にはなりますが、やはり”会社に縛られないお金”を作るという明確な目標がブレなかったことによって、これらのシンプルな3つの行動を継続できたのではないでしょうか。
シンプルな道を歩んでいけば、「会社に縛られないお金」は気づかないうちに貯まっていき、働かなくてもよい状況になる。
『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』ジェイエル・コリンズ
まとめ
以上、ジェイエル・コリンズ氏の著書『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』より個人的に重要だと感じた部分を紹介させていただきました。
長期的な視点で経済的自立を目指したい人にとってはシンプルかつ再現性の高い内容となっているので、非常に参考になると思います。
ぜひ、長期的な資産形成で経済的自由を手に入れたいという方は本書を読まれてみてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
【関連記事】
FIREについて興味がある方は以下の記事でおすすめのFIRE本を厳選して紹介しておりますので、併せてご参照ください。