金融資産形成

FIREを実現する方法とは!?FIREの本質は時間価値にあり|『FIRE』グラント・サバティエ

先進国を中心にグローバルな支持を集めているFIREムーブメント。

私はFIREという単語を初めて知ったのは、2019年の夏ごろでした。

FIREとは、Financial Independence(経済的自立)Retire Early(早期リタイア)の頭字語で、お金の悩みから解放され、お金のために働く必要がなくなることを指します。

日本でも、昨年(2019年)に三菱サラリーマンさん(@FREETONSHA)が30歳でセミリタイアを実現され、ますますFIREへの関心や注目度は高まってきているように感じます。

そんなFIRE熱が高まっているさなか、ようやく本場米国のFIRE関連の書籍が初めて日本語に翻訳され、FIRE本が誕生しました。

それが、こちらの本。

『FIRE 最速で経済的自立を実現する方法』(グラント・サバティエ=著)(岩本正明=訳)です。

これまでたくさんの資産形成や投資に関する書籍を読んできましたが、ここまでFIREに特化した本は初めてでとても読みごたえがありました。

FIREを実現するための具体的な手段や心構えがより詳細に掲載されており、FIREに向けてのモチベーションが高まるような本でした。

本書を読んで、FIRE実現に向けて重要だと思った考え方等を一部紹介したいと思います。

本記事で伝えたいこと

時間価値を意識したうえで、{収入-支出+(資産×運用利回り)}×時間を最大化できれば、FIREは達成可能!!

こんな人におすすめ!!

・FIREを実現したい
・資産形成を加速させたい
・お金の悩みから解放され、好きなことをしたい

著者について

著者は、グラント・サバティエさん(1984年生まれ)。

シカゴ大学を卒業後、新聞社に入社するも2010年に仕事を解雇され、実家で寝泊まりする生活を送ります。

その当時、失業後の銀行口座の残高は、なんと2.26$。

これまでは失業と転職を繰り返し、お金を一銭も貯められない生活が続いていました。

2008年前後の世界的な景気後退(グレート・リセッション)を受けて職を失った際にあることに気づきます。(この時が社会人3年目)

これまで人生の4700時間を仕事に捧げていて、その間の稼ぎは8万7000ドル(税引き後)、預金口座に残っていた2.26$以外何も成果を残せていないということ。

この時に思考が過去から将来に変わり、自分に残された選択肢を考えながら、この先40年間に思いを馳せることになります。

常にお金に悩まされていたくはない。家賃を払うためだけに、気まぐれでクビにしてくる上司のもとで働きたくない、自分の収入と時間を常にコントロールしたい、世界旅行を先延ばしにしたくはない・・・

そんな思いからもっとお金がほしいもっと人生を充実させたいと思うようになります。

何か違う人生が欲しければ、何か違うことをしなければならないということに著者は気づき、非現実的とすら思える目標を2つ定めます。

100万ドルを貯めること、そしてできるだけ早く「リタイア」すること。

それからこの目標を実現するためにあらゆる手段を尽くし、パーソナルファイナンス(個人の資産管理)に関する本や投資ガイドを手当たり次第乱読するようになります。

結果、5年後の2015年には、著者の純資産は100万ドルを超え、目標を達成します。

現在は、読者数1000万人を超えるウェブサイト「Millennial Money」で意欲的に啓蒙活動に取り組んでいらっしゃるという方です。

時間価値を意識する

本書の構成は以下のようになっています。

第1章  お金とは自由
第2章  時間はお金よりも貴重
第3章  あなたの目標とする数字は?
第4章  あなたの今の立ち位置は?
第5章  次のレベルへ
第6章  それに見合う価値があるのか?
第7章  あなたにとって必要な唯一の予算
第8章  9時5時の仕事をハックしよう
第9章  より少ない時間でより多くのお金を稼ぐ
第10章 投資戦略の7つのステップ
第11章 不動産投資
第12章 十二分な資金を確保するための戦略
第13章 将来を最適化するためのフレームワーク
第14章 より豊かな人生を送る

最速で経済的自立を実現した著者が、FIREを実現するために定めた目標・考え方から具体的手段、そしてリタイア後の資産設計まで述べられています。

本書の構成を上記で紹介しましたが、ざっくりと全体をまとめると、収入を最大化し、支出を減らし、より多くの余剰資金を投資にまわすことでより早く経済的自立に到達できるということです。

結局のところ、本質は資産形成における重要な公式

収入-支出+(資産×運用利回り)

を最大化して時間を大きく利用するということが重要だと思いました。

500ページに至る本書を読んで、私が一番重要であると感じたのは時間価値を意識するということです。

自分の時間価値とは、簡単にいうと時給換算した場合の稼ぎのことです。

つまり、税引き後所得÷労働時間という式で表すことができます。

サラリーマンや公務員の方がこの概念にあてはまる雇用形態になります。

仮に月の手取りが20万円で、労働時間が160時間(8時間×5日×4週)だとすれば、時給1250円で働いていることと同義になります。

このケースの場合、この人の時間価値は1時間当たり1250円ということです。

自分の時間価値を意識することができれば、より資産形成のサイクルを大きく回すことができると個人的に解釈しました。

では、時間価値を意識したうえで収入と支出について考えていきたいと思います。

収入(時間を買う)

著者は本書において、収入を増やすことこそが経済的自立に向けて成果を出すのに最も効果を発揮すると述べています。

支出を減らすことには限界がある一方、収入を増やすということには限界がありません。

また、収入が増えれば、投資により多くのお金を拠出することができるため、資産形成の速度が加速していきます。

収入を増やすということは、自分の時間価値を上げるということになります。

著者の場合、できる限りあらゆることを学び、お金にまつわる一般的なアドバイスをすべて疑いながら、①資産管理、②アントレプレナーシップ、③投資の3つを組み合わせて自分時間の価値の最大化を図ったといいます。

収入を増やすには、事業を立ち上げたり、ブログ等による副業、投資による所得、本業の昇給などがあります。

いずれにしても努力が必要だったりや時間はかかりますが、時間価値を上げることができます。

特に意識したいのは、時間価値の最大化です。

本業での昇給も時間価値は上がりますが、サラリーマンや公務員の場合、少ししか上がらないでしょう。

著者のように本気でFIREを目指すためには、より時間価値を最大化する必要があると感じました。

結局のところ、お金を稼ぐ(時間価値を上げる)ということは時間を買うということと同義です。

仮に生涯必要な支出が1億2500万円であるとすると、先ほどの例で算出した時間価値が1250円の人の場合、10万時間働く必要があります。

この人が事業や副業、投資などで収入を増やし、時間価値が倍の2500円になったとすると、生涯働く必要のある時間は5万時間まで減ります。

この例では時間価値を倍増させたことによって、将来自由に使える時間を5万時間買うことができたことになります。

時間価値を上げる(稼ぎを増やす)ことによって将来の時間を買うことができる

このように時間価値を最大化していき、将来自由に使える時間をより多く生み出していくことこそが、FIREの本質なのではないかと個人的に思いました。

支出(時間を無駄にしない)

次に支出を時間価値に基づいて考えていきたいと思います。

収入を増やす(お金を稼ぐ)ことは時間を買うことでしたが、支出を減らすことは時間を無駄にしないということになります。

本書にも記載がありましたが、物を購入する際に人生の何時間を差し出しているのか?という問いが重要です。

さきほど、時間価値を例として算出しましたが、物を購入する際に本当にそれを買うべきかどうかを検討するのに有効な式があります。

広告表示価格÷税引き後実質時給(時間価値)=差し出した人生の時間

前述の1時間当たりの時間価値1250円の人の場合で考えていきたいと思います。

たとえば、この人がちょっと贅沢をして2500円の物を購入しようと考えたとします。

仮に2500円の商品を購入したとすると、2時間分の時間を差し出したということになります。

この際に自分の時間価値を把握することができていれば、「この物を購入するために自分の2時間を差し出すことになる。これって2時間分の時間を差し出してまで本当に必要?」とちょっと立ち止まって考えることができます。

この思考のあとに本当に必要であると判断できれば購入したらいいですし、そこまで必要ないと判断したのであれば購入を見送るべきだと思います。

車や住宅の場合は金額が大きくなるため、より慎重に検討すべきだと思います。

300万円する車を購入した場合、2400時間差し出すことになりますし、2500万円の住宅を購入する場合は2万時間自分の時間を差し出すことになります。

価値観は人それぞれですので、自分にとって必要があれば購入するべきだと思いますが、購入前に1つ自分の時間を差し出して物を買っているという思考を挟んでいただくと要らない物を買ってしまうという失敗を減らせるのではないでしょうか。

著者もこの点においては経済的自立という目標達成に向けてこだわっていました。

物を購入する際に自分の時間をどれくらい差し出しているか考える。

複利×時間でより早く経済的自立に到達する

これまで、資産形成における重要な公式=収入-支出+(資産×運用利回り)の中で収入と支出について時間価値の観点から考えてみました。

資産×運用利回りの部分についても時間を味方につけることでより多くの資産を構築することが可能になります。

本書を読んでいて一番印象に残ったのが、若ければ若いほど「リタイア」するまでに貯蓄しておく必要のある金額が少なくなるということです。

最初は真逆の考え方だったので、びっくりしました。

若いほど手元にある資産額がどうしても少ないため、リタイアまでは時間がかかると思っていました。

ただ、本書で説明されていたのは、複利がお金の増殖を加速させ、よりお金持ちにするということです。

これまでの米国市場の長期的な期間で見た時の平均のリターンは7%程度であり、資金を株式市場に投じることで価値が次第に増えていくということです。

若ければ若いほど、時間を味方につけることができ、複利でお金を増やすことができるので、必要な金額が少なくてすむということです。

より具体的に数字を用いて説明します。

リタイアする目標額を1億円とし、50歳でリタイアしたいと考えていたとします。

株式市場が今後年平均7%のリターンが期待できるとすると、20歳の時と30歳の時では現在必要な貯蓄額が大きく変わります。

FPのパーソナルファイナンス分野でお馴染みのPV=FV/(1+r)nを用いて考えます。

簡単に説明します。

PVは現在価値で、目標額に到達するために現在投資する必要のある金額。
FVは将来価値で、将来の目標額(ここでは、リタイアするために必要な1億円)です。
rは割引率で、ここでは投資の期待リターンの7%です。
nは年数で、資金が増える期間のことです。

まずは、20歳の場合。

50歳に1億円を手にしてリタイアを考える場合、年の期待リターンを7%として、30年間複利の力を利用すると現在いくら投資すればいいのかを計算してみました。

上記の条件のもと30年後に1億円を手にするには現在13,136,712円投資する必要がある。

計算ツールとして、keisanを利用しました。

PV(現在価値)は、13,136,712円となりました。

20歳でこの金額を手にすることは難しいですが、上記の条件で考えた場合、現在13,136,712円投資していれば50歳で1億円貯まり、リタイアすることができます。

では、30歳の場合だとどうなるのか。

こちらです。

上記の条件のもと20年後に1億円を手にするには現在25,841,900円投資する必要がある。

同じリタイアの目標を30歳の時に目指すとすると20歳の時と比べて味方につけられる時間が10年減ってしまいます。

PV(現在価値)は、25,841,900円となりました。

30歳の時に25,841,900円投資をして、年平均リターン7%のもと20年間運用すると50歳で1億円貯まり、リタイアすることができます。

20歳の時と比べて、手元に用意しておく金額が多くなっていることがお分かりいただけたでしょうか。

これらの試算の結果が、複利×時間の最大の効果で、若ければ若いほど、将来必要な金額が少なくて済むということになります。

上記で用いた計算はあくまで、比較のための単純計算です。

年平均リターンもあくまで長期的な米国市場のこれまでの年平均リターンを参考にしたまでなので、今後はどうなるか分かりません。

より高い年平均リターンを出せるのであれば、より必要となる金額は少なくなりますし、年平均リターンが小さくなれば必要となる金額は大きくなってしまいます。

また、先ほどの算出は現時点で一括投資した場合の試算で追加での資金投入は行っていません。

収入を増やして、投資にお金をどんどんまわしていくことで目標額に到達するスピードは速くなっていきます。

若ければ若いほど、時間×複利の効果は絶大になってきますので、入金力を上げて目標とする資産に近づいていきましょう。

経済的自由にいち早く辿り着く鍵は、できるだけ早く、できるだけ頻繁に、できるだけ多くのお金を稼ぎ、投資することで、複利効果を加速させることだ。

『FIRE 最速で経済的自立を実現する方法』グラント・サバティエ

・若ければ若いほど、時間×複利の効果を発揮する
・将来の経済的自立に向けて、少しでも収入を増やし、投資にまわそう!!

FIREとは

FIREとは、簡潔に述べると お金の悩みから解放され、お金のために働く必要がなくなるということだと思います。

著者も経済的自由について、このように定義しています。

経済的自立、つまり投資からの収益だけで生活でき、二度と働かなくていいほどの十分なお金を手にする状態のこと。

『FIRE 最速で経済的自立を実現する方法』グラント・サバティエ

経済的自由の定義も人それぞれでいいと思います。

また、リタイア後の働き方も人それぞれだと思います。

お金のために働く必要がなくなった場合でもそのまま会社に残って働き続ける、自分で実現したかった事業に挑戦する、リタイアしてゆっくり過ごすなど取れる選択肢はお金がなかった時代よりも確実に広がっています。

FIREは、若くして仕事を辞めることではなく、本当に人生でやりたかったこと、心から意味があると思えることを実行するために、貴重な人生の時間を取り戻すことだと本書を読んで強く感じました。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

FIREについてこれほど詳細が書かれた本を読んだのは初めてであり、とても読みごたえがありました。

FIREして自分の人生を生きてやるぞ!とモチベーションが上がったり、ワクワクしながら本書を読んでいました。

FIREがこれほどまでに浸透してきている背景には、時代による価値観の変化だったり、ITによるテクノロジーの進展があったからだと思います。

この時代において資産形成に取り組むことができること、20代でFIREという概念に出会えたことをアドバンテージに今後も経済的自立を目指して資産形成に取り組んでいきたいと思いました。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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時間を支配して、金融資産・人的資本を大きくするには冨田和成さんの著書『資本主義ハック』が参考になります。