ブログ「三菱サラリーマンが株式投資でセミリタイアを目指してみた」でお馴染み、穂高唯希さんの著書『本気でFIREを目指す人のための資産形成入門』を読みました。
FIRE(Financial Independence ,Retire Early:経済的自立と早期退職)は米国のミレニアル世代を中心に浸透している考え方ではありますが、日本ではまだFIRE実現者は少数です。
穂高さんは30歳でFIREを実現し、国内で若年期に経済的自立を自力で達成したロールモデルとなってくれました。
FIREという生き方を目指す人々にとって、国内にロールモデルがいることは希望です。
本書は、穂高さんがFIREを実現するにあたって取り組んだ再現性の高い資産形成の手法やこれまでの資産形成の軌跡がまとめられています。
FIREを目指している方はもちろん、非常に読みやすく、資産形成や投資の基本的な要素についても丁寧に説明されていますので資産形成をはじめようと思っている方にもぜひ手にとっていただきたい本です。
著者:穂高唯希
著者はブログ「三菱サラリーマンが株式投資でセミリタイアを目指してみた」でお馴染みの三菱サラリーマンこと、穂高唯希さんです。
三菱サラリーマンの名前が意味するとおり、三菱グループに属する大企業に勤務されていましたが、なんと入社初日からセミリタイア・アーリーリタイア【FIRE】を志します。
「30歳でセミリタイアを達成する」という目標を掲げ、給与の8割を投資にまわすという投資スタイルを確立したことで見事30歳でセミリタイアを実現されます。
高配当・増配株に投資するスタイルで、現在の金融資産は7,000万円に到達し、株式から得られる配当金収入は月平均20万円超、多い月は40万円近い配当金収入を得ています。
穂高さんが早期セミリタイアを決意したきっかけは、新卒で入社したその日に感じた違和感がいつまでも残っていたことにあります。
「普通でいなければいけない」という空気を感じ、今まで生きてきた自由な世界とは異なる文化、人々に囲まれていることを強烈に感じたそうです。
また、幼い頃に父を亡くしており、非常に身近な「死」が存在したことで、かけがえのない時間的価値を学ばれています。
人は皆有限の時間を生きているという事実がある中で、「社会で一般的とされる社会通念にとらわれず、1度きりの人生、自分が思うままに自由に生きよう」という信条を持たれます。
このような背景もあった中で「経済的に自立した上で、自分の人生は自分で切り開く」という生き方をサラリーマンでも努力次第でできるということを示してみようという気概を持って、入社以降7年半日々の生活を送り、ブログに綴られてきました。
実際に穂高さんがFIREを達成された時のブログ記事が以下になりますので、併せてご覧いただけたらと思います。
FIREを実現した投資手法
穂高さんは30歳という若さでFIREを実現されていますが、どのような手法でFIREを実現されたのでしょうか。
試行錯誤を続けた結果、一定期間「お金を稼ぐこと・資産を形成すること」に集中し、その資金を上手く運用して「経済的自由」を獲得しようと決意されます。
ここでいう「経済的自由」とは、「株式や債券から得られる配当・利子所得などの不労所得が、生活費を継続的に上回る状況」を指します。
それで自由という時間を手に入れようという考え方です。
結果、「給与の8割を投資に回す」という「30歳での経済的自由・セミリタイア」の実現に欠かすことのできない核心的な投資スタイルを確立されています。
投資手法は高配当株・連続増配株をひたすら買い続ける形で配当金収入を最大化するという手法をとっています。
これまでFXも経験されてきて、損益だけでなく精神面でも消耗したことから長期的に心穏やかな状態で安定的に利益を積み上げる仕組み作りを模索した結果、「高配当・増配株投資」に落ち着いたそうです。
そして、配当金という定期的に生まれる不労所得・キャッシュフローを最大化するためにできるだけ多くの資金を作り、高配当株・連続増配株を購入し続けることに注力されます。
最終的に辿り着いたスタイルが、給与からできるだけ多くの額を捻出して株式を購入し、保有株数と配当金を着実に積み上げ、資産を形成していくというスタイルです。
穂高さんは本書において、「給与の大部分を投資に回すこと」と「支出の最適化(節約)」を両輪として、優良と判断した高配当株・連続増配株に資金をひたすら投下し続けたことが資産形成をする上で最も大切なポイントだったと述べています。
穂高さんのような高配当株・連続増配株に投資するスタイルの魅力は、株式を買えば買っただけ配当金が増えていくということです。(もちろん、減配のリスクもあります。)
そして、給与と配当金を再び投資に回すことで配当金が右肩上がりに増えていきます。
人間が長期的に何かに取り組む際には、「右肩上がりに積み上げていけるものを数値でもって可視化すること」が極めて有効であり、毎月給与から株式を買い続けて配当金を積み上げていくスタイルは資産形成に非常に適しているといえます。
そんな穂高さんの投資哲学・投資方針を端的に表したものが以下です。
「明日は給料日。収入の8割をせっせと株式買付に回す単純な作業。そうして配当収入の綺麗な右肩上がりのグラフが描かれていく。いかに若年期に投下資本を蓄積できるか、もうそれに尽きるんやで」
『本気でFIREをめざす人のための資産形成入門』穂高唯希(p27)
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FIREを語るうえで重要なのは「生き方」
また、本書を読んで改めて重要だと感じたのは、FIREや経済的自由を語る上で決定的に重要なのは「生き方」であるということです。
経済的自由とは自由な時間を得るための切符、すなわち理想の生活を手に入れるための切符です。
理想の生活は人によって大きく異なりますが、FIREを達成すれば理想の生活が実現できます。
そして夢や目標があれば、その先の展望も描けるため、経済的自由を目指す意義はさらに増します。
以上を踏まえると、やはりお金はあくまで手段であって、長期的に人生の原動力であり続けるのは、お金そのものではないことがお分かりいただけると思います。
FIREや経済的自由を語る上で決定的に重要なのは「生き方」なのです。
穂高さんは、人生の原動力は「挑戦し続けること」だと思っているそうです。
目標や夢もなく、現状維持に甘んじるような生活は、日常に張り合いがなくなってしまいます。
人間、生きがいを失ってしまえば非常に脆く、朽ち果てるのも早いです。
やはり経済的自由やFIREを目指すにあたって、「自分はFIREを実現してどのような夢や目標を達成するためにどういう生き方をしたいのか」ということを明確に定める必要があると感じました。
まとめ:FIRE実現者から学べることは多い
以上、穂高唯希さんの『本気でFIREをめざす人のための資産形成入門ー30歳でセミリタイアした私の高配当・増配株投資法ー』を読んで、私なりに重要だと感じた部分を中心にまとめさせていただきました。
FIREを実現された方の考え方や資産形成の手法を学ぶことは非常に参考になり、勇気がもらえます。
本記事で紹介させていただいた内容は本書の一部分です。
ぜひ、FIREを目指している方は本書を手に取って読んでいただければと思います。
穂高さんの現在のポートフォリオやお金自動発生マシーンの組み立て方なども非常に参考になると思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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