「経済成長理論」と「コブダグラス型生産関数」をわかりやすく解説!イノベーションが経済成長の鍵を握る

長期投資を行うにあたって、より大きなリターンを得るためには投資対象先の経済成長は必要不可欠です。

本記事では、長期投資家として知っておきたい経済理論、「経済成長理論」と「コブダグラス型生産関数」についてわかりやすく解説していきます。

「経済成長理論」と「コブダグラス型生産関数」を理解すれば、イノベーションが経済成長の鍵を握ることがわかります。

長期投資を今後行うにあたって1つに参考になるかと思いますので、最後までご覧いただけますと幸いです。

この記事を書いた人
  • 国立の経済学部卒業
  • AFP資格保有(FP実務経験あり)
  • 証券会社に約3年半勤めており、FPとしての実務経験あり
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目次

経済成長理論とは

経済成長理論とは、国民経済もしくは世界経済の経済成長についての動態、その要因の分析、説明を行うマクロ経済学の一分野とされています。

長期的な経済成長を考えるにあたって非常に参考になる理論です。

この経済成長理論は、生産力に着目しています。

つまり、長期的な経済成長は国全体でどれだけモノ・サービスを作り出す能力があるかという経済全体の供給面から決まるという考え方です。

供給側が長期的な経済の水準を定め、需要も供給に応じてある程度決まってくるということです。

従って生産力に着目した経済成長理論においては、生産力の増加が長期的な経済成長に寄与するという解釈になります。

そして、経済学の世界において生産力を決める要素は大きく分けて以下の3つがあります。

  1. 資本(お金)
  2. 労働(人)
  3. イノベーション(技術革新)

極論すると、たくさんお金(資本)を投じて、人が働き(労働)、そこにイノベーションが加わると経済は大きく成長するということです。

供給側が需要を決めるという考え方なので新しく生産した分が付加価値としてGDPに計上され、経済成長をもたらします。

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コブダグラス型生産関数とは

経済成長理論は、資本、労働、イノベーションによって生産力が上がり、経済は大きく成長していくという考え方でした。

ただ、むやみにお金や人を投じればよいという訳でもありません。

企業を例に考えてみましょう。

企業が生産を拡大しようとする場合、人(労働)を増やすのか、設備(資本)を増やすかの選択を迫られたとします。

そこで設備を2倍にすれば生産量が2倍になるのかというとそう簡単にはうまくいきません。

設備(資本)を増やしても、動かす人(労働)が足りないと、効果が薄れてしまうからです。

分かりやすく企業のIT化を例にとってみたいと思います。

最初は2人に1台しかパソコン(資本)が使えなかったところに、追加で投資を行って1人1台パソコンが使えるようになったとします。

この投資によって1人1台パソコンが使えるようになったため、提案書の数(=生産量)は増えます。

ここまでの状態であれば適切だと言えますが、さらに資本を追加したら生産量は上がるでしょうか。

仮に1人2台パソコンが使えるようになったとしても、提案書が2倍に増えるわけではありません。

機械も人が動かすものである以上、その機械が十分に稼働できるよう人を雇う必要が出てきます。

つまり、人と機械は相互に投入しなければ順調に生産を拡大することはできないということです。

前置きが長くなりましたが、この状態を数式で示したものがコブダグラス型生産関数になります。

コブダグラス型生産関数では、Kは資本(設備投資)Lは労働量(従業員の労働)aは資本分配率を示しています。

資本分配率と労働分配率は対称関係にあるため、(1-a)は労働分配率を示しています。

Aは全要素生産性と呼ばれ、イノベーションの度合いを示します。

実際にコブダグラス型生産関数の式にいろいろな数値を当てはめてみると、資本(K)を増やしたり、労働(L)を増やしていくと、最初は生産量が伸びるものの、やがてその伸びが鈍化していくような曲線を描くことが分かります。

上記の式を見てお気づきの方もいらっしゃるかとは思いますが、重要な意味を持っているのがイノベーションです。

新しい技術の台頭によって、より少ない労働で同じ機械を動かせるのであれば、資本を投じてたくさんの機械を設置することで生産量を飛躍的に伸ばすことができます。

つまり、最終的に経済成長のカギを握っているのはイノベーション(全要素生産性)なのです。

近未来で考えると、AI(人工知能)やFA(ファクトリーオートメーション)がイノベーションとなって、生産力を飛躍的に伸ばし、経済成長が加速していくと考えられています。

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まとめ:経済成長のカギを握るのはイノベーション

以上、「経済成長理論」と「コブダグラス型生産関数」について紹介させていただきました。

生産力に着目した経済成長理論においては、長期的な経済成長に影響をもたらす3つの要素がありました。

それが、①資本(お金)②労働(人)③イノベーション(技術革新)です。

そして、この3つの関係を数式で表したのが、コブダグラス型生産関数でした。

資本と労働はやみくもに投入しても生産力は一定数しか上がらず、いずれは伸びが鈍化していきます。

そこにイノベーションが加わると生産量は飛躍的に増大します。

よって、最終的に経済成長のカギを握っているのはイノベーションということになります。

これまでの産業革命もイノベーションがもたらしています。

第1次産業革命(1700年代後半~1800年代前半のイギリス)…蒸気機関

第2次産業革命(1800年代後半のアメリカ、ドイツ)…電力

第3次産業革命(1900年代後半のアメリカ)…コンピューター

これらの技術によって生産力が飛躍的に上がり、我々の生活も快適かつ便利になっています。

そして、産業革命の中心となった国はその時代の覇権を握っています。

今後については、AIやIot、FA、自動運転、ゲノム、3Dプリンター、宇宙など様々な分野でのイノベーションが期待されています。

長期投資家としてこんなに楽しみな未来はありません。

ぜひ、今回紹介した「経済成長理論」や「コブダグラス型生産関数」を頭に入れて長期投資をされてみてはいかがでしょうか。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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