FIRE本

【書評】『幸せの確率 あなたにもできる!アーリーリタイアのすすめ』内山直

これからの人生を自分で選択して歩んでいきたい
アーリーリタイアを人生の選択肢の1つとして考えている
FIREに興味があり、関連する書籍を読みたい

上記のような方々におすすめしたい本が内山直さんの著書『幸せの確率 あなたにもできる!アーリーリタイアのすすめ』(セルバ出版)です。

本書はアーリーリタイアという生き方を実践した著者がアーリーリタイアに至るまでの考え方・コツを紹介しています。

著者のリタイアする前の職業は医者で、幸福学や心理学、伝統仏教などもこれまで学んできているため、アーリーリタイアという生き方を視野に入れている人にとっては読みごたえのある内容となっています。

本記事では、『幸せの確率 あなたにもできる!アーリーリタイアのすすめ』より個人的に印象に残った部分を紹介していきたいと思います。

こんな人におすすめ!!

・自由を目指して資産形成に取り組んでいる
・アーリーリタイアして自分の人生を歩んでいきたい
・FIREに関連する書籍を読みたい

著者:内山直

著者は医学博士の内山直さんです。

1968年に新潟県新潟市で生まれ、新潟大学医学部を卒業、その後同大学院を修了しています。

2004年に独立し、自分のクリニックを立ち上げたところ、多くの患者さんを集め、「行列のできる診療所」として有名になります。

しかしその後、激務と重圧から、人生のあり方を見つめ直すようになり、幸福学、心理学、伝統仏教などを学んだ結果、家族や友人とより多くの時間を過ごしながら、自己実現に腰を据えて取り組むことが大切だと考え、アーリーリタイアメントを決意します。

仏教の教えを読み解いたり、幸福学や心理学を勉強することによって過剰な欲望を切り捨てた結果、満足率を下げることなく、むしろ高めながら貯蓄率を上げ、そしてリスク・リターン率の高い運用を心がけて最終的に目標としていた資産額に到達しています。

現在は、新潟市で妻と子ども3人(男児)と暮らしながら、執筆に加え、街おこし、イベント企画、ヨガ・瞑想など、興味のあることに次々と挑戦しているそうです。

アーリーリタイアにとって必要なのは高い貯蓄率

著者は本書において、アーリーリタイアにとって必要なのは高い貯蓄率に尽きると述べています。

単純化された試算結果が本書で紹介されているので簡単に説明したいと思います。

ここでは20歳で働きはじめて、80歳まで生きると仮定したうえで、昇給、インフレ、退職金、運用益に対する税金、さらに教育資金や住宅購入などのライフイベントについては一切無視することとしています。

例えば、貯蓄率が50%、すなわち、稼いだお金の半分で生活し、半分を貯蓄に回すとした場合何歳でリタイアできるのでしょうか?

この場合は、支出額=貯蓄額なので、人生の前半、20歳から50歳までの30年間で貯めたお金を、後半の30年間で取り崩せばちょうどゼロになるため、リタイア可能年齢は50歳ということになります。(*現実の人生はもっと複雑です)

『幸せの確率』(内山直)P27より引用

では、もしこれを年利5%の複利で運用したらどうなるでしょう?

貯めた端からどんどん運用を開始し、リタイア後の資産の取り崩しも運用を続けながら行うと、リタイア可能年齢はぐっと早まって33歳と試算されます。

『幸せの確率』(内山直)P28より引用

このように複利で資産運用を行うと、ずいぶんと早く資産を築くことができ、また、取り崩す期間を長くできます。

貯蓄率50%のパターンを紹介しましたが、貯蓄率を半分の25%に下げるとどうでしょうか?

ちなみに25%は、戦前、財テクの神様と言われた造園家・本田静六さんが資産形成に勧めた数字です。

この場合、運用益を考えない単純計算では65歳年利5%の複利で運用した計算では45歳でリタイアできることになります。

では、貯蓄率10%だとどうでしょうか?

ちなみに貯蓄率10%は『バビロン大富豪の教え』で勧められている数字です。

貯蓄率10%の場合、年利5%の複利で運用した計算ではリタイアできるのは59歳となっています。

一般的な退職年齢が60歳であることを踏まえると、10%を貯蓄して運用に回すことはアーリーリタイアではなく、一般的な退職年齢で余裕を持ってリタイア生活に入るための最低ラインと言えます。

まとめると、以下のような表になります。

貯蓄率とリタイア可能年齢の試算10%25%50%
運用せずに取り崩す場合65歳50歳
5%(年利)で運用しながら取り崩す場合59歳45歳33歳

冒頭で著者が結論づけていたように、アーリーリタイアにとって必要なのは高い貯蓄率であることがお分かりいただけるかと思います。

2020年に出版された『FIRE 最強の早期リタイア術』は同じ貯蓄率の観点でFIRE実現可能年齢を割り出しているので、併せて参照していただければと思います。

アーリーリタイアはお金持ちじゃないと難しいと思われている方がいるかもしれませんが、

①お金にきちっと向き合い、ある程度勉強すること
②人生にはアーリーリタイアという選択肢があること
③重要なのは所得額ではなく、貯蓄率だと理解すること

の3つの点を把握していれば、平均以下の収入でもアーリーリタイアに成功するチャンスは十分あると著者は述べています。

満足率を高める

アーリーリタイアするにあたって非常に重要になってくるのが、満足率です。

本書では、

満足率=実際に手に入れた環境/欲望の総量

と定義しています。

どんなに稼いでも欲望を肥大化させ続ければ、日々の満足度は上がりません。

特に近年はテレビやSNSなどの様々な情報により、私たちの欲望は刺激を受け続ける事態に陥っています。

人間の欲望は上を見ればきりがありませんよね。

逆に、「どこかで歯止めをかけない限り、欲望には終わりがないのだ」ということを理解した上で、ある程度以上の誘惑をシャットアウトすることができれ(欲望の総量↓)ば、それだけで日々の満足率は飛躍的に上がります。

さらに欲望の量は直接支出額に反映されるため、欲望が減ればみじめな節約をしなくても自然に貯蓄率は上がり、アーリーリタイアのタイミングを早めることに寄与します。

欲望の総量を下げるという点に対しては、無駄なモノを排除し、より大切なモノに集中するミニマリズムの考え方は相性がいいと個人的に感じました。

また、幸福学の研究では、「お金は物を買うことに使うよりも経験を買うために使ったほうが幸福感が持続する」ことが分かっているそうです。

経済学者のロバート・フランクによって提唱された「地位財」と「非地位財」の概念を用いて説明します。

地位財」とは、周りとの比較によって満足を得るもので、資産や社会的地位、家、車、高級な服などが挙げられます。

一方、「非地位財」とは、他人との比較とは関係なく幸せが得られるものです。具体的には、健康、自主性、自由、愛情といったものが挙げられます。

研究によると、両者とも人を幸せにすることに変わりはないものの、地位財による幸福感は比較的すぐに消えてしまうのに対し、非地位財による幸福は長続きすることが分かりました。

みなさんも過去を振り返ってみると、両親に買ってもらったプレゼントはあんまり思い出せないけど、愛情が感じられた出来事や体験などは記憶に残り続けているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

幸福学の研究を参考にすると、持続的な幸福のためにはお金や車、高級な服といったモノに対してこだわりを持つことよりも、自由を満喫したり、人とのつながりや愛情に感謝したりすることのほうが重要であることが分かります。

より満足度の高い人生を歩みつつ、できるだけ早くアーリーリタイアを実現したいと思っている方は「地位財」と「非地位財」のバランスを見直されてみてはいかがでしょうか。

まとめ:幸せの確率を上げよう

以上、内山直さんの著書『幸せの確率 あなたにもできる!アーリーリタイアのすすめ』より、個人的に印象に残った箇所を紹介させていただきました。

改めて振り返ると、アーリーリタイア(FIRE)を実現するには貯蓄率が最も重要です。

そして、今あるものに目を向けて感謝しながら、欲望を肥大化させなければ幸福度の高い人生を歩んでいくことができます。

貯蓄率と満足率をともに上げながら、幸せに生きる人生の確率を上げていきましょう。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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