経済・投資理論

【書評】『億万長者への道は経済学に書いてある』加谷珪一”経済学を投資に活かす”

マクロ経済学で学んだ知識って実際の株式市場にどうやって活かせばいいんだろう…?
株式市場で利益が出せるように経済学の基礎知識を学んでおきたい!

上記のような方々におすすめしたいのが、
経済評論家、加谷珪一さんの著書『億万長者への道は経済学に書いてある』です。

本書は、マクロ経済学の基本とその理論をもとに実際の投資で儲かるポイントが紹介されています。

マクロ経済学は結構苦手とする方も多い分野ですが、株や債券、為替、不動産などを取り扱うにあたって非常に重要となります。

本書の解説は非常に分かりやすいですし、実際に株式市場でどう役立てればいいかも併せて紹介されているので投資を始めたばかりの人には非常に参考になると思います。

本記事では、本書の一部で個人的に非常に参考になった「経済成長理論」と「AI時代の投資」について紹介させていただきます。

こんな人におすすめ!!

・マクロ経済学を学んで実際の株式市場に役立てたい
・経済成長理論を学びたい
・AI時代の経済成長が気になる

著者:加谷珪一

著者は経済評論家であり、投資家としても活躍されている加谷珪一さんです。

東北大学工学部原子核工学科を卒業後、新卒で日経BP社に記者として入社されています。

その後野村證券グループの投資ファンド運用会社に転職し、企業評価や投資業務を担当します。

独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事されています。

現在は、ニューズウィークや現代ビジネスなど数多くの媒体で連載を持たれています。

著者自身も経済学の知識を使って投資で億を稼いでおり、個人投資家としても億単位の資産を日常的に運用しています。

本書の主題も経済学の知識を使って利益を得るとなっています。

生産力の増加が経済成長に寄与する

本書で紹介されていた重要な理論を紹介します。

経済成長理論

それが、経済成長理論です。

経済成長理論とは、長期的な経済成長に対するひとつの見方を示すものです。

私のような20代の長期投資家であれば、長期的な視点で投資対象を定める際に役立てることができるので非常に参考になります。

経済成長理論は生産力に着目しており、長期的な経済成長は国全体でどれだけモノ・サービスを作り出す能力があるかという経済全体の供給面から決まるという考え方です。

つまり、供給側が長期的な経済の水準を定め、需要も供給に応じてある程度決まってくるということです。

従って生産力に着目した経済成長理論においては、生産力の増加が長期的な経済成長に寄与するということになります。

そして経済学の世界では、生産力を決める要素は大きく分けて3つあると言われています。

生産力を決める3つの要素

①資本(お金)
②労働(人)
③イノベーション(技術革新)

極論すると、たくさんお金を投じて、人が働き、そこにイノベーションが加わると生産力が増大するので経済が大きく成長していくということです。

しかし、上記の3つのうち資本(お金)と労働(人)についてはむやみやたらに投じればいいというものではありません。

企業が生産量を2倍にしたいと考えている場合に、単純に設備を2倍にしても意味がありません。

結局その設備を増やしても、その設備を動かす人が足りないと生産量は上がらないからです。

もう少し詳しくみていくために、第3次産業革命の中心となったコンピューターやインターネットを例にとってみましょう。

コンピューターやインターネットがなかった時代の企業を想像してみてください。

ここでは、提案書を生産することを目的とします。

コンピューターやインターネットがなかった時代は、手書きで提案書を作成するなどアナログでの作業が中心でした。

そこに技術の発達によってパソコンが登場します。

最初の頃は2人に1台しかパソコンが割り当てられていません。

この場合は、パソコンがなかった時代と比べれば、生産量は上がっていますが、1人1台使えるようになるともっと生産量が上がりますよね。

しかし、1人2台パソコンが割り当てられたとしても、生産性が2倍になるわけではありません。(ここが、先ほど述べた設備を2倍に増やしても生産量が2倍にはならないということ)

結局のところ、パソコンも人が動かすものである以上、そのパソコンを十分扱える人を雇わなければ生産量を上げることができないのです。

つまり、人と機械は相互に投入しなければ順調に生産を拡大することはできません。

生産関数

この状態を数式で示したものが生産関数です。

K資本(設備投資)L労働量(従業員の労働)Aイノベーションの度合いa資本分配率を示しています。

先ほど挙げた例で説明すると、Kがパソコン、Lは従業員、Aがコンピューターやインターネットによるイノベーションとなります。

資本分配率と労働分配率が対称関係になっているのは、先に述べた人と機械の関係性が理由です。

この式をよく見ていただけると、資本を増やしたり、労働を増やしていくと最初は生産量が伸びるものの、やがてその伸びが鈍化していくような曲線を描くことが分かります。

ここで重要な意味をもたらすのがイノベーションです。

より少ない労働力で同じ機械を動かせるのであれば、資本を投じてたくさんの機械を設置することで生産を飛躍的に伸ばすことができます。

最終的に経済成長のカギを握っているのはイノベーションという訳です。

ここまでを整理すると、お金や人が豊富でイノベーションが活発な国が今後も経済成長を期待できるということになります。

この事実を踏まえると今後も投資すべき対象はアメリカではないでしょうか。

アメリカは世界一の経済大国で、人口も今後も増え続けますし、GAFAを中心とした技術革新を起こし続ける企業が多いですからね。

AI時代の経済成長

これまでも産業革命(イノベーション)によって経済成長が大きく加速してきました。

第1次産業革命では、蒸気機関が普及しました。

続く第2次産業革命では、化学、電気、石油といった内燃機関が、第3次産業革命では、コンピューターやインターネットが普及しました。

これらのようなイノベーションが起こったことによって生産性が大きく上がり、飛躍的に経済成長が拡大していきました。

今後も様々な分野でのイノベーションが期待されています。

AI、ロボティクス、ブロックチェーン、ゲノム解析、ドローンなど注目が集まるテーマは多いです。

中でもAI(人工知能)社会の到来は注目度が非常に高くなっています。

そこで、今回はAI時代の到来について先ほどの経済成長理論を用いて、将来の経済成長(株価の動向)を考えていきたいと思います。

新聞記事や報道でよく取り上げられていますが、多くの仕事が将来AIに置き換えられると言われています。

このように社会のAI化が進むと、業務のかなりの部分がAIやロボットに置き換えられていくことが想像できます。

この場合、企業は積極的にAIへの投資を行い、労働者への依存度を減らしていくはずです。

同じ成果が期待できるのならば、人よりも機械の方が扱いやすいですし、コストも一定で済みます。

そうなると先ほど紹介した生産関数においては、労働分配率(1-a)が著しく低下し、逆に資本分配率(a)が増加することになります。

労働分配率が著しく低下したときというのは、生産力のグラフがかなり直線に近くなるので、これまでとは違いロボットやAIに追加投資をした分がそのまま生産拡大につながっていきます。

なので、企業は半ば無制限に生産量を拡大できるという解釈が成り立ちます。

しかし、このようなAI時代の世界では、多くの労働者が不要となるので、得られた付加価値を受け取る国民(労働者)の数が減ってしまうということになります。

極論すると、AIに投資をした投資家やオーナーだけが配当などの利益を受け取ることになります。

ただ、労働の対価として所得を得る国民が減ってしまうと、今度はAIやロボットを使って生産した製品やサービスを購入する人がいなくなってしまいます。

つまり、労働収入を得る人の減少により、需要自体も大きく減ってしまうということです。

なので、このような事態を避けるために一部の識者は、AIが生み出す利潤を何らかの形で国民に再分配する機能が必要と主張しています。

それが、ベーシックインカムという制度です。

ベーシックインカムとは、最低限所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を定期的に支給するという政策です。

ベーシックインカムが導入されれば、我々の労働量を大きく減らすことができるので最初にこの概念を知ったときはめちゃくちゃAI時代の到来を待ち遠しく感じました。

ただ、ベーシックインカムが今後実現するかどうかは全く分かりません。

もし、ベーシックインカムのようなAIが生み出した富を国民に再分配するような政策が取られれば、国民は多くの時間を消費に充てることができるようになるため、1人当たりの需要は飛躍的に伸びると考えられます。

そうなってくると従来の常識では考えられなかった水準で、需要と供給が拡大することとなり、経済全体の成長や企業の業績(=株価)も大きく上昇していくと考えられます。

テクノロジーの進化は素晴らしいですね。

・経済成長を決めるのは、資本労働イノベーション

・中でもイノベーションによる経済成長への寄与度は高い

・社会がAI化すると、労働の比率が低下し、資本の比率が高くなる(労働者への還元が少なくなる)

・所得の再分配を実現できれば、経済や株価に好影響となる可能性が高い

まとめ

以上、『億万長者への道は経済学に書いてある』より「経済成長理論」と「AI時代の経済成長」について紹介させていただきました。

これから長期投資を考えられている方にはぜひ経済成長理論を知っておいてほしいです。

最後に本書に書かれていた内容で共感できた部分を引用させてください。

短いタームでは、市場は様々な動きを見せるが、長いタームでは、経済学の基本ルールに沿って動く

『億万長者への道は経済学に書いてある』 加谷珪一

確かに短期だと急に悪い出来事が起こって株式市場はどのように動くか分かりませんが、長期的にみれば経済学の理論に近づいていくというのは納得です。

長期的な視点で自分なりに経済学の知識を身につけて先を見通すことができるようになれば、短期的に市場が暴落しても焦って売ってしまうということも減らせると思います。

これからも経済学はしっかりと身につけておく必要があると感じました。

本記事で紹介したように、本書ではマクロ経済学の基本(ex.経済成長理論)と投資で儲かるポイント(ex.AI時代の投資)が併せて学べるので、ぜひ興味を持たれた方は本書を手に取ってみてください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。